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映画に登場するプロップガン〜警察用・軍用、現用機から
SFの未来の銃まで意外に幅広いG36〜登場するフィルムもたくさん…

G36 on images

映画に登場するプロップガン〜警察用・軍用、現用機からSFの未来の銃まで意外に幅広いG36〜登場するフィルムもたくさん…

先日の記事で若干訂正。

まずSTANAGマガジン対応のアダプターがドイツ連邦軍であまり普及していないということを書いたが、どうもこのアダプターはH&Kがマグプル系のマガジンも使用できるように市販はしたが、連邦軍もテストはしたものの採用したかどうかがはっきりしない。

してないかもしれない。

調べていたらこのアダプターは一種類ではなく、いくつかのタイプがあるようなのでサードパーティーなんかも製造しているのかもしれない。

寸法さえ正確ならサードパーティーでも製造できそうな簡単な構造なのでありそうな話だ。


あとG36の軽機関銃バージョンのMG36だが、連邦軍はどうも採用していないらしい。

英訳のDB資料を読んでいると、試作品50挺を発注してテストしているが軽機関銃対応としてヘビーバレルを装備したが、その効果が証明されなかったので結局通常のG36にバイポッドとCマガジンを装備しただけの「もどき」バージョンを2〜300挺ほど製造しただけだとのこと。

つまりもどきとG36はほぼ同じもので、ヘビーウエイトバレルはハンドガードに隠れているのでMG36とバイポッド、ドラムマガジンを装備した「もどき」を外観からは区別できないとのことだ。

前回載せた実銃MG36の写真はどうやら「もどき」だったらしい。


ところでG36用に開発されたグレネードランチャーのAG36が、米軍にM320として採用されるに際してストックを取り付けられるようになっていることも触れたがこのバージョンを構えた姿が何かを連想させるなぁ…と気になっていた。

何に似ているのか思い出した。





AG36の米軍バージョンM320は専用のハンドガードを省略してRASに直付けできるレールマウントをつけた
そのマウントにストックをつけてフロントにもバーティカルグリップをつけられるようにした
このスタイルが何かに似ているなぁと思っていた




そしたら思い出した!
これだ!
スパイダーショット…



ウルトラマン

1966年に放送された日本の怪獣モノ特撮が一般的になった皮切りのテレビシリーズ。

ゴジラ以来の怪獣はこのシリーズから子供が楽しむポップな娯楽になった…解説の必要もないぐらいの作品なんだけど、そのベースは原案・脚本製作者の出身地・沖縄の「ニライカナイ」がベースになっているとかいわくを知れば別の角度から楽しめるかも知れないしやはり子供騙しと見えるかもしれない難しい作品。

しかしこのシリーズをリアルタイムで経験した世代は、例外なく大きな影響を受けている。

子供に人気があった恐竜をポップにした怪獣がなぜか毎回邪な動機で地球を侵害し、それに対して地球人の決死隊も戦うのだが最後は謎の宇宙人「ウルトラマン」に全部引き受けてもらって「ごっつぁんです」というストーリー。

その地球人の決死隊の「科学特捜隊」略して「科特隊」(特捜も省略語のような気がするが細かいことは気にしない)が「かなわぬまでもせめて一太刀!」と怪獣にけなげな攻撃をかけるのが前半の山場。

そのメンバーもそれぞれキャラが立っていて兵器開発に特化した隊員、通信索敵に特化した女性隊員、荒事上等の腕力担当隊員、肝心な時にいつもいない隊員(これがウルトラマンの正体)など。





科特隊のジェイソン・ステイサム、アラシ隊員の武器は
他の隊員よりも火力の強そうなスパイダーショット
いや、G36とは何の関係もなかったがAG36を単独で構えていたら
なんとなくこのスパイダーショットのことを思い出したので…



猿の惑星:創世記(ジェネシス)

1968年にキューブリックの「2001年:宇宙の旅」と並んでセンセーションを起こしたSF映画「猿の惑星」

この映画はなぜかチンパンジーやオランウータン、ゴリラなどの類人猿が支配する惑星に漂着してしまった宇宙飛行士たちの物語だったが、そもそもこの「猿の惑星」はなぜこうなったのかを解き明かす「続きモノ系」のリメイク映画がこの「猿の惑星:創世記」からの新シリーズ。

遺伝子操作によって脳の病気などを治療する研究をしていた主人公たちが、動物実験に使っていたチンパンジーに「知性の萌芽」を発見するところから物語は始まる。

やがて動物たちは人間の理不尽な支配に怒りを感じるようになり、そのくびきを絶って反乱を起こす。

当然、これを鎮圧しようとする人間と深刻な対立が起きるという内容。





暴動を起こした猿のリーダーをヘリの上から狙撃するFBI捜査員の得物はG36K
G36はドイツ連邦軍ライフルとして開発されたがNATO諸国でも採用され
さらにはアメリカなどの司法関係でも多く採用された
FBIが狭いヘリの上で狙撃用に取り回しのいいG36Kを使うのは説得力があった
大口径スコープがフロントサイトに蹴られているのと頬付けが
できない高さなのが納得いかないが薬莢が機内に飛び散らないように
カートガイドを排莢口につけているのは面白いと思った



COWBOY BEBOP

何度か触れている「外国人がジャパニメーションを観るならこれは必ず観ろ」ランキングで常に上位に入る作品。

賞金稼ぎのスパイクとジェット、その二人と付かず離れずの関係の跳ねっ返りの女賞金稼ぎのフェイ…この3人が宇宙の果ての荒野で埃っぽい捕物を展開する…タイトルのビバップ(クラシカルなジャズ)に載せて洋物風の小粋な雰囲気と日本人は見ていたが、外国人は「とても日本っぽいエキゾチックなアニメ」と思っているようだ。

カルチャーギャップが面白い。

この主人公スパイクが宿敵ビシャスを追い求めて因縁の街に降り立つ…偶然フェイはこのビシャスと決着をつけようとするもう一人の宿敵グレンと出会い、物語は三つどもえ、四つどもえとなり糸は絡み合っていく…というような話。





ビシャスと因縁のあるグレンは実は若いころ木星の月タイタン守備隊の戦友だった
この二人を結びつけるオルゴールをビシャスに渡した女はスパイクとも因縁浅からぬ仲だった…
という夕方子供向けアニメにしてはとても大人っぽい内容だった




このタイタン守備隊の兵士の標準装備がG36だった




旧型サイトのフルサイズのG36なんだけどマガジンはSTANAGのように見えないこともない




こんな感じのテッポが100年後の太陽系外縁の守備軍でも
使われているというある意味本当っぽいSFアニメ



GALACTICA/ギャラクティカ

G36は1997年に配備されているので同世代の各国小銃の中では遅れてきた自動小銃なのだが、引退は案外早いかも知れない。

しかしその外装が100%プラスティックだとか、スケルトンなフォールディングストックとか、2段積み光学サイトをデフォで装備しているとかの外観からなんとなく未来的なイメージを持たれている。

それでSF映画に登場する未来の軍隊はAUGやG36なんかを持っていることが多い。

この「ギャラクティカ」は2003年にリメイクされた方で「スターウォーズのマネ」としか言いようがない前作と違って機械と人類の最終戦争をリアルに描いていた。

人類からは独立して進化し始めた機械の突然の絶滅攻撃で繁栄していた12惑星のコロニー連合は完全に壊滅し、わずかに生き残った数千人の人類が退役寸前だった旧式の宇宙戦艦「ギャラクティカ」に乗ってこの宇宙のどこかに存在するという人類発祥の地「伝説の地球」を目指すというお話。

しかし閣僚は最初の攻撃で全員亡くなってしまい、たまたまギャラクティカの退役式のスピーチのために乗艦していた大統領継承権再末尾の女性文部大臣が臨時の「人類の指導者」となってしまった…もともと政権のお飾りとして担がれていた女性臨時大統領と
「難民船になるよりも軍の本分にふさわしく機械どもに反撃を食らわせる」
と主張する軍人の対立が始まる…しかも「伝説の地球」の位置も本当にあるのかどうかさえも誰も知らないという困難な状況が続く…





このコロニー連合の兵士たちが使う銃はG36Kが主力




人類の戦闘員の中にも人間そっくりの機械のアンドロイドがまぎれ込み
誰が敵で誰が味方なのか「約束の地」を目指して戦う人々も疑心暗鬼になっていく




最初のシリーズでは男性だった「スターバック」はこのシリーズでは女性戦闘機乗り
そして地上戦ではやはりG36Kを使う
彼女が人類の行方の大きなカギを握っているとのちのち明かされていく…




こちらはKもつかないノーマルなG36だがサイト・ストック周りはそっくり
G36はなんとなくSF的なフォルムでそういう作品で多く見かける



トゥモロー・ワールド

これもSFなんだけど遠い未来の話ではなく21世紀前半、人類に子供が生まれなくなってしまった十数年後にひっそりと生まれた一人の赤ん坊をめぐって熾烈な戦いが始まるというなんだかリアルな話。

人類最後の赤ん坊だった少年が事故死して世界中が悲嘆に暮れる中、街中はテロリストと強権的な圧政を敷く政府の完全武装した軍の対立でそこら中に爆弾テロなどが起きる荒れた世界。

ある日主人公は別れた妻に突然 「人類のために協力してほしい。何も言わずに政府のコネを使って通行証をとってほしい」 と言われて、やがてテロリストたちの計画に取り込まれてしまう。

彼らと同行するうちに驚くべきことが判明する。

十数年振りに「人類の赤ん坊」が生まれたのでこの親子を「ヒューマンプロジェクト」と呼ばれる謎の難民船に連れて行きたいというのが彼らの計画だった。

長回しで話題になった「ゼログラビティ」のアロンソ・キュアロンのその前監督作。

やはり圧巻は後半の英軍とテロリストの戦闘の最中、赤ん坊を救いにいく超長回しのシーン。





単身赤ん坊をテロリストから救いに行く主人公がその子を抱いて
降りてくると兵士たちは神々しいものを見るような表情に変わる
彼らの手にはL85とG36Cが確認できる…この英軍はヨーロッパ連合的な
独裁国家でその兵士はドイツ軍、英軍などの各国の混成部隊ということらしい
ジョージ・オーウェル的な悪夢のような全体主義的社会の反映で
そういう意味ではこのでたらめな装備は逆にリアリズムなのかもしれない



マトリックス リローデッド

G36が登場するフィルムって何があるだろうと調べたら膨大な数が見つかった。

G36はハリウッド的にはとてもありふれた映画向きのプロップガンということなのかも知れない。

マトリックスシリーズは銃に関してもモダンポリマーオートとクラシックな銃の対比が「意図的」と思わせるような選択になっていた。

2作目の「マトリックス・リローデッド」ではあまりにもたくさんの銃が出て来たので逆にポリシーが薄くなってしまったかもしれない。

しかしこのフランス人の店に乗り込んだネオとモーフィアスたちを迎え撃つ手下どもの銃器の選択肢がバラバラなのを見てむしろバラバラ・まぜこぜがこの映画のポリシーなのかも知れないと思ったりした。

前作で「救世主」の素質に目覚めたネオだが、なぜかまだ違和感を感じていた。

このまま自分の能力が人類や愛する友人たちを救うことにはならない…なぜかそういう予感に囚われたネオが本当の救済とは何か「選択はすでにされている」という謎の預言者の言葉の意味を探る戦いに挑む…というようなお話。





MP5やG36、MP5K、CAR-15の9mm、そして挙げ句の果てに
M1921シカゴタイプライターのトンプソンと種類も年代もバラバラな彼らの得物
つまり統一性が全くないのが統一性という逆説的なプロップガンの選定
しかもなんで至近距離の銃撃戦なのにAG36付きのG36なんだ?…
というリアリティのなさも狙いなのかも…




まあリアリティはともかくグレポン付きの長ものはハッタリが効くからね



V フォー・ヴェンデッタ

もう一作SF作品を。

これもジョージ・オーウェル的悪夢のような全体主義社会でがんじがらめにされた未来の物語。

国民の自由な言論を弾圧し見せかけの平和を享受する全体主義国家未来のイギリス。

しかしテレビ局に勤務するイヴィーはある日、口を閉ざすことを拒否した反逆者「V」と名乗る男に救われる。

「V」は警察も軍もその権威も嘲笑い、権力の体面を丸つぶれにするテロ活動を一人続ける。

この男に関わるうちにイヴィーにも危機が迫る…というような流れ。

「V」と名乗る男が被っているのは17世紀に英国王の圧政に反発して火薬陰謀事件に関わった「ガイ・フォークス」のお面

「ガイ・フォークス」とは”民衆の男”というような意味で、いわば「名無しの権兵衛」みたいな意味。

つまりこの話の元になったガイ・フォークスの正体も全くわからない。

それにあやかって正体のわからない男が民衆の声を呼び覚ます。





未来の英国は圧政によって見せかけの平和な世界になっていた
政府を賛美する旗と銃を構えて行進する青年たち
しかし政府を少しでも批判するものには厳しい弾圧が待っていた




「ガイ・フォークス」の面を被った「V」のテロと民衆蜂起を弾圧する軍




彼らが一斉に構えるのはノーマルタイプのG36
イギリスなら当然L85のはずだがG36の方が未来的な感じがしたんだろう
この映画の軍や警察特殊部隊はMP5系やG36などH&Kの銃器に統一されている


2023年2月20日
















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